リフォーム最前線 No.1

今後さらに厳しくなる市場。 OB顧客の掌握、 活用が最重要課題に

出口の見えない不況の中、リフォーム業界でも他業種の参入による競争の激化、
ユーザーの予算の低価格化など厳しい状態が続いています。
今回は、住宅・商空間などのインテリアデザインのほか、
住関連企業へのコンサルティングに携わる鳥井貴正さん(アトリエノース代表)に
現状の解説と苦境を脱するためのポイントを語っていただきます。

これから顧客の囲い込みがリフォーム受注の源になる

私はインテリアの分野をベースに住宅・リフォーム業界に携わってきました。まだまだ未熟な身ではありますが、今回は激動する業界の中で勝ち抜くためのポイントについてお話ししたいと思います。

まず、現況を整理しましょう。今後、住宅着工数は 20年以上低迷が続き、回復の見通しは立っていません。総務省の統計データでも全国的に住宅が余っている状態であることがわかります(グラフ参照)。これは今に始まったことではなく、1968年ごろからその傾向は現れています。すでに全国で800万戸以上もの空き家があり、空き家率も約13.5%にも上る現状です。また、バブル崩壊以降は従来住宅の買い手であった40才代人口が減少し、住宅ニーズも縮小してしまいました。

そこで住宅業界としては、次の人口のピークとして団塊ジュニアの世代をターゲットにしてきたわけなのですが、実際には中心となる層の親である団塊世代にはすでに家があるので、その長男・長女は「家付き」ということになり、新規に家を買うのは第二子以降。実際の購買は団塊ジュニア世代全体の半数以下となるため、この市場は休息に終息してしまいました。

現在、建て替えや大型リフォームのおもな対象となっているのは、1981年以前の旧耐震基準の住宅です。その次の新耐震基準以降の住宅は50年以上の耐久性がありますから、建て替え需要が再び訪れるまであと20年は待たなくてはなりません。

そこで重要になるのが、今確保している顧客の囲い込みです。一度、お世話になった顧客から出てくるメンテナンスや増改築といったリフォーム需要を確実に受注していくことです。

販売促進は相手を知ることから始まります。相手がこんなことに困っているはずだという仮説を立てられるデータを持つことです。顧客宅に高齢者がいればバリアフリーの需要があるのではないか。子どもが進学の年齢になっていれば、受験を控えて個室や防音のニーズがあるのではないか。使用部材の記録があればメンテナンスの時期も見当がつきます。

そのためにもまず着手したいのは顧客データを整理・管理することです。お客さん1件ごとにカルテをつくり、築年数、過去の工事履歴、部材の耐用年数の管理、そして顧客の家族構成、生活環境、ライフサイクルを把握しましょう。定期訪問で顧客の流出を防ぐとともに顧客情報を常に更新する。定期訪問の際に家屋の状態をチェックして適切にアドバイスする。地域の「ホームドクター」としてこれを続けていけば顧客が離れることはそうそうありません。

「当たり前」を徹底して「生涯顧客化」を目指す

ただ、当然他社も必死になりますから競合も激しくなります。まずは自社の顧客を他社に奪われないことです。そのためのキーワードとして私が挙げたいのは、「アプローチ」、「マナー改善」、「スピード向上」の3点です。

アプローチとはこちらからの販売促進を積極的に行うこと。もっとも有効なのはOB顧客への訪問です。めんどくさい、忙しい、という事情もよくわかりますが、そのままでは顧客はどんどんいなくなります。こっちから積極的に顔を見せていかないと、存在すら忘れられてしまいます。

マナーという点も、リフォームの場合、とくに重要です。顧客の生活の場で仕事するケースが多く、人間関係の接点もしばしば生じるからです。職人さんひとりひとりに至るまで顧客と失礼のない会話ができなければ、いずれトラブルにもつながりかねません。現状でも「何時にいく」という時間を守らないなど、きりがないくらいマナーを巡って問題が起きています。マナー改善にきちんと向き合う必要があります。

また、最後の「スピード向上」とは、顧客との期日の約束を優先するということです。従来は見積もり、プランを頼まれても、目先の現場仕事を片付けることに追われ、ひと月も連絡なく放置していた、という話をよく耳にします。顧客から催促されるようではアウト。顧客から見積もり等を依頼されたら、まず提出日を約束すること。そしてその期日は確実に守ること。顧客の「いつになるのか」という不安を解消できますし、約束を守ることで信頼も高まります。

これらはいずれも顧客にとっては「当たり前」のことです。しかし、それさえもきちんとできなければ、顧客が離れていくのもまた当然のこと。一度お世話になった顧客とは一生関係を築き続けるつもりでないと、勝ち残っていくことはできません。「生涯顧客化」を目指して取り組んでいきましょう。